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「非球面レンズ」とは、たとえば光軸の中心から離れるにしたがって曲率が緩くなるなど 複雑な表面形状を持つレンズです。 球面レンズには収差*1 があるため、光を1点に集める事 ができませんが、高い収差補正を持つ非球面レンズを使うと、構成枚数を少なくしたコンパクトな 光学系でも優れた結像性能を実現できます。 |
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補足事項 *1:収差(Aberration) レンズの理想的な結像は、以下の三条件をみたす。 1. 物体上の 1 点から発した光は、像面上の 1 点に集まる(収束する) 2. 物体が光軸に垂直な平面のとき、像面も光軸に垂直な平面である 3. 物体と像の形が相似であるところが現実には、レンズには光の屈折の法則そのものに 起因して生じる結像の欠陥が存在する。この欠陥を「収差」という。 「収差」の代表的なものには、光が単色光(特定の単波長)であっても発生する ザイデルの5 種類の収差*2 と、光の波長が単一でなく異なることによって生ずる 2 種類の色収差がある。すべての「収差」を完全になくすことはできないが、レンズ の設計に際しては、レンズの用途に即してこれら7 種類の「収差」をバランス良く 抑制できるように、硝種(光学ガラスの種類)、形状、配置などを決めていく。 [→本文] *2:ザイデルの 5 収差 ドイツの L. Von SEIDEL(1821〜1896年)が1856(安政5)年にレンズの結像性能を研究・ 解析して明らかにした 5つの単色収差つまり球面収差*3 、コマ収差*4 、非点収差*5 、 像面湾曲*6 、ディストーション(歪曲)*7 のことをいう。 [→本文] *3:球面収差 一般的なレンズは球面(スフェリカル)光学系(対語:非球面(アスフェリカル)光学 系)によって構成されているために、光軸上に入射する光束(=写真のごく中心部分に 到達する光の束と考えれば良い)は、像面(=ここではフィルム面)上の1点のみには 集まらない。これが「球面収差」である。目に見える現象としては、ハロ(=入射高の 比較的高いところから入射する軸上光線によるフレア)をともなってボケ、シャープネス の低下をもたらす。 「球面収差」は、レンズの口径が大きいほど発生しやすくなる。 「球面収差」は、絞りを絞り込む事によってかなり改善できる。 「球面収差」は、凸レンズと凹レンズを適切に組み合わせることで改善できる。 [→補足事項] *4:コマ収差 球面収差を良好に補正しているレンズであっても、画角を持った光束(=光軸に対して 斜めに入射する光の束=軸外光束)からはこの「コマ収差」が発生する。 目に見える現象としては、画角を持った光束(軸外物点からの軸外光束)がフィルム 面上で、まるで尾をひく彗星のように非対称なボケを形成し、シャープネスの低下を もたらす。 このボケを総称して「コマフレア」ともいう。 光軸に対して放射線方向(=メリジオナル方向)に広がり、彗星のようなあるいは 涙滴状の点像になるフレアを「メリジオナル コマフレア(Mコマフレア)」と呼ぶ。 また、光軸に対して同心円方向(サジタル方向)に広がり、カモメやトビが飛ぶ姿の ようなあるいは菱形の点像になるフレアを「サジタル コマフレア(Sコマフレア)」 と呼ぶ。 「コマ収差」は、絞りを絞りこむ事によってある程度まで改善できる。 [→補足事項] *5:非点収差 軸外光束に対して、光軸に対して放射線方向(=メリジオナル方向)と同心円方向 (=サジタル方向)との焦点(=結像位置)が一致しないで、点が点に写らずにボケて しまい、シャープネスの低下をもたらす収差が「非点収差」である。 目に見える現象としては、背景や近景の著しい流れ(点像が楕円形にボケて流れて みえる) [→補足事項] *6:像面湾曲 球面収差、コマ収差、非点収差と異なり、点は点には写るが、写真の中心部分と周辺部分 とのピント面が一致せず、ピントの結ぶ位置が画角によって徐々にずれて湾曲していく という収差が「像面湾曲」である。 目に見える現象としては、たとえば、光軸と直交する平面を撮影した場合に、画面中心の ピントは合っているのに周辺部はピントが外れている(あるいはその逆も)といった ケースがある。 「像面湾曲」は、絞り込む事によって目立たなくなるが、本質的には改善されない。 [→補足事項] *7:ディストーション(「歪曲」) 球面収差、コマ収差、非点収差と異なり、点は点には写るが、被写体の形状が変形する 収差。 目に見える現象とし以下3種類の代表類型がある。 1. 「タル型」(ビヤ樽のように変形する。たとえば、方形を撮影すると、その四隅の 角度は、本来の90度を超えて太ったように変形する。 2. 「糸巻き型」(くびれた糸巻きのように変形する。たとえば、方形を撮影するとその 四隅の角度は本来の90度には満たずに端が尖がるように変形する) 3. 「陣笠型」(「タル型」と「糸巻き型」が合わさった形。陣笠の形状) [→補足事項] |
平凸型非球面レンズ |
製品No. | 外径[mm] | 焦点距離[F] | Bf | 中心厚[T] | 材質 |
非球面レンズIKU0808 | 8.0 | 8.0 | 4.7 | 5.0 | BK7 |
非球面レンズMGC000 | 12.0 | 8.5 | 5.8 | 5.5 | CG |
非球面レンズIKU1512 | 15.0 | 12.0 | 6.0 | 11.0 | FDS90 |
非球面レンズMGC001 | 15.0 | 12.0 | 8.4 | 5.5 | CG |
非球面レンズ | 17.0 | 12.0 | 6.7 | 8.0 | |
非球面レンズIKU2012 | 20.0 | 12.0 | 6.0 | 11.0 | FDS90 |
非球面レンズIKU2528 | 25.0 | 28.0 | 20.7 | 11.0 | BK7 |
非球面レンズIKU2535 | 25.0 | 35.7 | 30.1 | 8.5 | BK7 |
非球面レンズIKU3028 | 30.0 | 28.0 | 18.1 | 15.0 | BK7 |
非球面レンズIKU3035 | 30.0 | 35.7 | 27.8 | 12.0 | BK7 |
非球面レンズIKU3069 | 30.0 | 69.8 | 64.5 | 8.0 | BK7 |
非球面レンズIKU3528 | 35.0 | 28.0 | 14.8 | 20.0 | BK7 |
非球面レンズIKU4035 | 40.0 | 35.7 | 22.5 | 22.5 | BK7 |
非球面レンズIKU4048 | 40.0 | 48.8 | 39.6 | 14.0 | BK7 |
非球面レンズIKU4069 | 40.0 | 69.8 | 63.8 | 9.0 | BK7 |
非球面レンズIKU5048 | 50.0 | 48.8 | 35.6 | 20.0 | BK7 |
非球面レンズIKU5067 | 50.0 | 67.2 | 57.2 | 14.0 | BK7 |
非球面レンズIKU5090 | 50.0 | 90.8 | 84.2 | 10.0 | BK7 |
非球面レンズIKU5200 | 50.0 | 200.0 | 195.4 | 7.0 | BK7 |
非球面レンズIKU6048 | 60.0 | 48.8 | 29.7 | 29.0 | BK7 |
非球面レンズIKU6067 | 60.0 | 67.2 | 54.0 | 20.0 | BK7 |
非球面レンズIKU6104 | 60.0 | 104.9 | 96.3 | 13.0 | BK7 |
非球面レンズIKU6200 | 60.0 | 200.0 | 194.7 | 8.0 | BK7 |
非球面レンズIKU7104 | 70.0 | 104.9 | 94.3 | 16.0 | BK7 |
非球面レンズIKU10142 | 100.0 | 142.5 | 125.4 | 26.0 | BK7 |
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